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犬猫と乳酸菌~人間との共生~

2025年7月30日/最終更新日時:2025年9月24日

人間の暮らしに寄り添いながら進化してきた動物たちの中でも、犬と猫は特に深い関係を気付いてきた存在です。
一方、ヨーグルトをはじめとする乳飲料は古代の人々にとって重要な栄養源であると同時に、保存と健康の知恵の結晶でもありました。動物と乳製品、そしてそれらに含まれる乳酸菌の効能をめぐる歴史は、人間の文化と生存の歩みと密接に関係していると言えるでしょう。

ペットとしての犬と猫の起源

犬の家畜化はおよそ1万5千~3万年前にさかのぼるとされています。
これは、人類がまだ狩猟採集生活を営んていた旧石器時代のことで、オオカミの中でも特に人間に友好的な個体が、人間のそばで残飯を漁るうちに共存関係を築いていったと考えられています。
人間は彼らの補佐や見張り役として利用し、やがては犬は人類最初のペットとなりました。

猫の家畜化はそれよりも遅く、約9千年前、農耕が始まった新石器時代に始まったとされています。中東やエジプトでは穀物の備蓄が始まり、それに集まるネズミを捕るために、野生のリビアヤマネコが人間の居住地に近づきました。
人間はこの有用な存在を歓迎し、猫との共生が始まったのです。

乳飲料とヨーグルトの誕生

乳製品の歴史もまた古く、約9千年前に家畜化された牛、ヤギ、羊の乳が、やがて飲料や加工品として利用されるようになりました。当初、生乳は腐敗しやすく、大人の多くが乳糖を分解できなかったため、乳の利用には限界がありました。
しかし、自然発酵によって生まれた乳酸菌が乳糖を分解し、保存性も高く、酸味のあるヨーグルトへと変化することで、乳製品はより多くの人に受け入れられる食品となったのです。

ヨーグルトは中央アジアや中東の遊牧民の間で日常的に摂取され、のちにギリシャやローマ、さらには近代ヨーロッパ、そして現代世界へと広まっていきました。
「ヨーグルト」という単語は、トルコ語起源であり、それが欧州諸語でも使用されるようになり、日本でもその呼称が一般的となりました。トルコ系の人々は、もともとは中央アジアで遊牧生活を営んでいた民族です。

犬と猫は乳製品を摂取していたのか?

人間の生活圏で暮らしていた犬や猫は、当然ながら人間が消費する乳製品にも接していました。
農村では余ったミルクやクリームが猫に与えられることもあり、19世紀のヨーロッパ絵画には「猫が皿からミルクを飲む」光景が数多く描かれています。
実際には多くの猫が乳糖不耐症であり、大量のミルクは消化不良を招くことがありますが、文化的なイメージとしては定着していたようです。

犬に関しては、遊牧民文化の中で、乳製品が食事の一部として与えられていた可能性があります。
ヨーグルトを日常的に摂取する中央アジアの民族の間では犬も人間の残飯として発酵乳を口にしていたと考えられます。明確な逸話や記録は少ないものの、人間とともに暮らし、人間の食文化に影響を受けた動物たちが、乳製品を食べていた可能性は高いと言えるでしょう。

民間伝承から科学へ:乳酸菌とその効能

長年、多くの飼い主たちは、経験と直感からペットにヨーグルトを与えることで消化が良くなることに気づいていました。これは、獣医師が腸内フローラについて言及するようになるずっと前から、家族の間で「お腹に良いから」と口伝えに受け継がれてきた民間伝承であり、愛情深い知恵でした。

数十年後、この古くからの知恵が、科学的な裏付けを得ることになります。研究者たちは、ヨーグルトの成分を分析する中で、腸内環境のバランスを整え、自然な免疫力を高め、消化器症状の期間を短縮する「乳酸菌」を有益な細菌として特定しました。
ヨーグルトに含まれる乳酸菌は、単なる牛乳、ヤギの乳の保存手段にとどまらず、健康面での恩恵ももたらすことが分かったのです。

科学者たちは、犬や猫の体に特に適した菌株を分離することに成功し、これまでの飼い主たちの直感が正しかったことを証明しました。

現在では、この乳酸菌が、動物の健康にとって静かながらも非常に貴重なパートナーとなっています。
近年では、犬や猫の健康をサポートする目的で、乳酸菌を含む犬猫用サプリメントやヨーグルトも販売されるようになりました。弊社ミヤリサン製薬の酪酸菌も腸内で乳酸菌やビフィズス菌の増殖作用があるとされる、宿主にとって有益なプロバイオティクスの一つです。

動物と乳酸菌の共生は、現代の科学と伝統が交差する地点において、改めて注目されています。

最後に

犬と猫は、食卓や住まい、時には心のなかでも、人間の生活の一部として共に歩んできました。ヨーグルトという一つの食品の背景には、家畜化、発酵という知恵、微生物の働きといった複層的な文化が息づいています。そしてその文化は、犬や猫といった動物との関係にもひそかに影響を与えてきたのです。

犬猫と発酵食品、一見無関係に思えるこの2つのテーマも、実は人間の営みの中で密接に絡み合っていたのでした。