犬の避妊・去勢手術は必要?メリット・デメリットと適切な時期を解説

2023年10月16日/最終更新日時:2026年3月3日

犬の避妊・去勢手術は必要?メリット・デメリットと適切な時期を解説

新しくワンちゃんを家族に迎えた際、必ず直面するのが「不妊手術(メスの避妊)・去勢手術(オス)」をどうするかという問題です。
「健康な体にメスを入れるなんて可哀想…」「自然のままが良いのでは?」と悩まれるご家庭も多いと思います。

不妊・去勢手術は「望まない繁殖を防ぐ」という目的が強いですが、実は将来の深刻な病気を防ぎ、発情によるストレスから愛犬を解放するという大きなメリットもあります。
一方で、全身麻酔のリスクや「太りやすくなる」といったデメリットがあるのも事実です。今回は、愛犬のために飼い主様が最善の選択ができるよう、犬の不妊・去勢手術について詳しく解説します。

犬の発情と、手術の「適切な時期」

繁殖への欲求は動物の本能であり、自らの意思でコントロールできるものではありません。この欲求を満たせない状態が続くことは、犬にとって大きなストレスになります。

  • メス犬:年に約2回、発情期(ヒート)が訪れます。1度の妊娠で、小型犬では2〜4匹、大型犬では8〜12匹ほどを出産します。
  • オス犬:オスには周期的な発情期はありませんが、発情中のメスの匂い(フェロモン)を嗅ぐことでいつでも発情します。

手術のタイミングはいつがいい?

犬の場合、メスは生後6〜12ヶ月、オスは生後12ヶ月以内に性成熟(子供を作れる体)を迎えます。
初めての発情を迎える前(生後6ヶ月頃)に手術を行うことで、乳腺腫瘍などの病気の予防率が劇的に上がると言われています。繁殖やドッグショーへの出場を考えていない場合は、早めにかかりつけの獣医師に相談しましょう。

犬の避妊・去勢手術のメリット

手術を行う最大のメリットは、「命に関わる病気を予防できること」「問題行動が減ること」です。

メス犬のメリット(避妊手術)

  • 病気の予防:子宮蓄膿症や卵巣腫瘍を完全に防ぎ、乳腺腫瘍の発生率を大幅に下げることができます。
  • ストレスからの解放:発情に伴う出血(ヒート)や、偽妊娠による体調不良、イライラなどのストレスがなくなります。

オス犬のメリット(去勢手術)

  • 病気の予防:精巣腫瘍、前立腺肥大、肛門周囲腺腫などの病気を防ぎます。
  • 問題行動の減少:縄張り意識によるマーキング(おしっこをかける)やマウンティング、無駄吠えが減り、性格が温和になる傾向があります。
  • ストレスからの解放:メスを求めて脱走しようとするなど、叶わない交尾欲求による多大なストレスから解放されます。

知っておくべきデメリットと術後のケア

手術には、以下のようなデメリット(リスク)も伴います。

  • 繁殖できなくなる:後から「やっぱり子犬が見たい」と思っても元には戻せません。
  • 全身麻酔のリスク:手術には全身麻酔が必要です。術前検査をしっかり行い、リスクを最小限に抑えます。
  • 太りやすくなる:生殖器を取り除くことでホルモンバランスが変わり、基礎代謝が落ちるため、術後は非常に太りやすくなります。メスの場合はまれに尿失禁が起こることもあります。

術後の肥満を防ぐ「健康管理」

術後に今までと同じ量のご飯を食べていると、あっという間に肥満になってしまいます。肥満は関節炎や糖尿病など、別の病気の引き金になります。

避妊・去勢後用の低カロリーフードに切り替えたり、適度な運動を心がけたりするなどの対策が必要です。

🐶 術後の体重管理と日々の健康サポートに

手術後は、体重管理と同時に免疫力を維持するためのバランスの良い栄養補給が大切です。「ご飯の量を減らすと満足してくれない…」とお悩みの場合は、毎日の食事にプラスできるサプリメントの活用もおすすめです。

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さいごに

日本では年間約9,000匹の犬や猫が殺処分されています。望まれない命を増やさないためにも、動物愛護法では繁殖制限が推奨されています。
不妊・去勢手術は、愛犬が人間社会の中でストレスなく、穏やかに長生きするためのポジティブな選択でもあります。ご家族でよく話し合い、納得のいく決断をしてあげてくださいね。


【参考文献】

  • 山根義久. イヌ・ネコ 家庭動物の医学大百科 改訂版. パイ インターナショナル, 2012
  • 東海林克彦. 犬と猫との暮らしの教科書. 公益社団法人日本愛玩動物協会, 2019
  • 環境省 「あなただけにできること -動物の繁殖制限-」