【獣医師が解説】犬猫のマイクロチップは必要?義務化の背景とメリット・デメリット

2022年4月26日/最終更新日:2026年2月27日

【獣医師が解説】犬猫のマイクロチップは必要?義務化の背景とメリット・デメリット

皆様、こんにちは。動物たちとの毎日の暮らしの中で、彼らの見せるふとした表情や仕草に、心が温かくなる瞬間がたくさんあることと思います。

さて、今回は私たちの大切な伴侶動物(コンパニオン・アニマル)の命と安全を守る「マイクロチップ」についてお話しします。
2022年6月1日から、動物愛護管理法の改正により「犬と猫のマイクロチップ装着の義務化」がスタートしました。正確には、ペットショップやブリーダーなどの販売業者は「完全義務化」、すでに一般のご家庭で暮らしている動物たちについては「努力義務」となっています。

「そもそもマイクロチップってどういうもの?」「動物の体の中に入れても本当に大丈夫なの?」と、不安や疑問を感じている飼い主様も多いのではないでしょうか。
獣医師としての私の意見を先にお伝えすると、動物の福祉と権利を守り、万が一の時に命を救うためにも、マイクロチップの装着は強くお勧めしたいと考えています。

犬と猫の触れ合い

マイクロチップとは?何のために装着するの?

マイクロチップには、世界でただ一つ、その動物だけの「15桁の番号」が記録されています。これはISO規格(国際規格)の個体識別番号であり、「この子はどこの誰の家族であるか」を証明できる、いわば動物のマイナンバー(身分証明書)です。

最大のメリットは「家に帰れる」こと

例えば、大きな地震や台風などの災害が起きた時、パニックになって家族と離ればなれになってしまう動物は少なくありません。また、ちょっとした隙に玄関から脱走して迷子になったり、最悪の場合は盗難に遭ったりすることもあります。

そんな時、保護された先(動物愛護センターや動物病院など)で専用のリーダーを使ってマイクロチップを読み込んでもらえれば、飼い主様の情報がすぐに特定できます。
首輪や迷子札は外れてしまうリスクがありますが、体内に装着されたマイクロチップは外れることがありません。自力で帰ることができない窮地にあっても、確実に家族の元へ戻れる可能性が飛躍的に高まるのです。

マイクロチップ装着の実際と安全性

実際のマイクロチップの大きさ 専用の注射器

マイクロチップそのものの大きさは、直径約2mm、長さ12mmほど。ちょうどお米粒くらいの大きさです。(左写真参照)

痛みやデメリットはあるの?

皮膚の下(主に首のうしろ付近)に、少し太めの専用の注射器で装着します。
「痛くないの?」と心配されるかと思いますが、通常は麻酔なしで埋め込むことができ、時間も一瞬で終わります。予防接種の注射とあまり変わらない感覚です。(※痛みが心配な場合は、避妊・去勢手術などで麻酔がかかっている間に一緒に装着することも多いです)

装着後にアレルギーなどの問題が起きる可能性は非常に低く、安全性は高いとされています。
デメリットを強いて挙げるならば、MRI撮影を受けた際に、チップ周辺の画像が少し乱れて見えにくくなることがある点ですが、それを考慮しても装着するメリットの方がはるかに大きいと言えます。

環境省への「情報登録」が必須です

マイクロチップは、動物病院で「装着」しただけでは機能しません。必ず飼い主様の情報を「登録」する必要があります。

2022年の義務化に伴い、環境省の「犬と猫のマイクロチップ情報登録」という新しいデータベースが稼働しています。今後ペットショップ等から動物を迎える際は、すでにチップが装着されているため、飼い主様ご自身で名義の「変更登録」を行う必要があります。

もし迷子になってしまった場合、保護機関はまずこの環境省のデータベースを検索します。引っ越しで住所が変わった場合や、連絡先が変わった場合も、必ず登録情報を更新することを忘れないでください。

▶ 参考:環境省「犬と猫のマイクロチップ情報登録に関するQ&A」

最後に~大切な家族のためにできること~

獣医師の診察風景

当院でも数十年に渡りマイクロチップの装着を進めてまいりました。外見からは装着しているかどうかわかりませんが、動物病院でリーダー(読み取り機)をかざしたり、レントゲンを撮ったりすると一目で確認できます。

最後に一つお願いがあります。
マイクロチップを入れていても、普段からしている「迷子札付きの首輪」はぜひ着けておいてください。専用のリーダーを持たない一般の方が保護してくれた場合、パッと見てすぐに連絡先がわかるアナログな迷子札は、より早くお家に帰るための最強のツールになります。マイクロチップと迷子札の「ダブルの備え」が理想的です。

💡 マイクロチップと共に、毎日の「健康の備え」も大切に

万が一の災害時や迷子になった時、過酷な環境を乗り越えるには日頃から培った「基礎体力」が重要です。愛犬・愛猫の健やかな体づくりのための、毎日の栄養サポートについてご紹介します。

マイクロチップは、言葉を話せない動物たちに代わって「私は〇〇の家族です!」と教えてくれるお守りです。大切な家族のためにできることの一つとして、ぜひ前向きに考えてみてくださいね。


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この記事の執筆者

柴内 晶子 先生(赤坂動物病院 3代目院長)

東京都港区赤坂にて55年以上に渡り、人と動物双方の福祉、教育、医療にかかわり、豊かな社会作りに貢献している「赤坂動物病院」の3代目院長。
「伴侶動物(コンパニオン・アニマル)との幸せな共生」をテーマに、獣医療の枠を超えたトータルケアを提唱しています。

🏥 赤坂動物病院(予約制・365日開院)

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