【獣医師執筆】米国の生涯伴侶動物と暮らせる高齢者住宅「タイガープレイス」と動物看護師の役割

2022年11月8日/最終更新日:2026年4月30日

米国の生涯伴侶動物と暮らせる高齢者住宅「タイガープレイス」と動物看護師の役割

皆様こんにちは。
本日は、私がアメリカの動物病院や施設を視察した際に感銘を受けた「ペットと暮らせる高齢者住宅」のお話と、これからの日本の獣医療を支える「動物看護師」の役割についてお伝えしたいと思います。

日本の獣医療を支える「愛玩動物看護師」

先日、日本初となる「愛玩動物看護師」の国家試験に向けた予備試験が行われました。当院からも長年勤務している看護師さんたちが多数受験しており、良い結果が出ることを心から祈っております。(※正式な合格者が出るまでは名称が使用できないため、当院では一時的にアニマルケアスタッフ(ACS)と呼んでいます)

動物病院のスタッフ

動物病院の仕事の中で、獣医師にしか許されていない独占業務は「診断・手術・処方」の3つです。それ以外の多岐にわたるケアやサポートは、看護師さんたちの存在なしには絶対に成り立ちません。

アメリカの獣医師とVeterinary technician(動物看護師)

アメリカの伴侶動物医療は、日本に比べて10~20年先進的であると言われています。
私がカリフォルニアやニューヨークなどの動物病院を視察した際、獣医師1名に対しておよそ3名ほどの「Veterinary technician(動物看護師)」がつく体制が一般的でした。

獣医師は診断・手術・処方に専念し、その他の様々な仕事はほぼ全て動物看護師が担うという、非常に合理的なスタイルです。そして何より印象的だったのは、皆さんご自身の職業をとても誇らしく思い、「人と動物の間で働けるなんて、他にこんなに良い仕事はないわ」と笑顔で語ってくださったことです。
日本の愛玩動物看護師という新しい国家資格も、これからさらに誇り高い素晴らしい職業として定着していくことでしょう。

▶ 日本の動物看護師さんについての記事はこちら

アメリカの素敵な高齢者住宅「タイガープレイス」

アメリカは医療だけでなく、人と動物との関係性においても先進的な研究が進んでいます。その象徴とも言えるのが、私が数年前に訪問したミズーリ大学の「タイガープレイス(TigerPlace)」です。

タイガープレイスは、高齢者が伴侶動物(ペット)と共に暮らすことを積極的に奨励している高齢者向け住宅です。

タイガープレイスの様子1 タイガープレイスの様子2

通常、高齢になって介護や医療が必要になると、施設へ移るために泣く泣くペットを手放さなければならないケースが多々あります。
しかしタイガープレイスは、「高齢者の状況が変化しても居住場所を変えるのではなく、その時々に必要な医療や環境の方を人に合わせる(Aging in place)」という発想で作られています。もちろん、その暮らしの中には愛する伴侶動物の存在がしっかりと組み込まれています。

日本にも生涯一緒に暮らせる場所を

タイガープレイスの設立を牽引したレベッカ・A・ジョンソン博士は、設立のために法律の壁さえも乗り越えた大変パワフルな方です。

🐾 高齢者が動物と暮らす社会的な意義

日本のような超高齢社会において、生涯を自然に伴侶動物と暮らせる場所は必須です。
伴侶動物との暮らしは高齢者の心身の健康を保ち、人々の心の平穏を作ります。それは結果的に日本の莫大な医療費の削減にもつながり、その先を担う若い世代の負担軽減にもなる非常に重要なことなのです。

日本にもタイガープレイスのような素晴らしいモデルケースが一つでも誕生し、後に続く場所が増えていくことを切に期待しています。

💡 生涯を共に楽しく過ごすための「健康維持」

飼い主様ご自身の健康はもちろん、パートナーである愛犬・愛猫にもいつまでも元気でいてほしいですよね。毎日の食事にプラスして、手軽に健康維持をサポートできるサプリメントの活用法をご紹介します。

最後に:人と自然は切り離せない関係

余談ですが、アメリカで訪問したある獣医師ご夫婦の家での出来事です。
濃い霧の中を車で走りご自宅に到着すると、家の前には馬場があり、白い霧の中から艶々と輝く美しい黒馬と白馬が現れました。都会の便利さはないかもしれませんが、そこには動物と共にある素晴らしく充実した暮らしの形がありました。

美しい馬

どこで暮らしていても、人間は自然の世界から完全に離脱することはできません。私たちの傍らにいてくれる伴侶動物は、「人間だけの地球ではないこと」「優しさとは何か」を思い出させてくれる、自然界からの尊いギフトであるといつも実感しています。



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この記事の執筆者

柴内 晶子 先生(赤坂動物病院 3代目院長)

東京都港区赤坂にて55年以上に渡り、人と動物双方の福祉、教育、医療にかかわり、豊かな社会作りに貢献している「赤坂動物病院」の3代目院長。
「伴侶動物(コンパニオン・アニマル)との幸せな共生」をテーマに、獣医療の枠を超えたトータルケアを提唱しています。

🏥 赤坂動物病院(予約制・365日開院)

住所 〒107-0052 東京都港区赤坂4丁目1-29 赤菱ビル 2F
電話 03-3583-5852
(受付:平日9:30-18:00 / 土日祝9:30-17:00)