2022年9月27日/最終更新日:2026年4月7日
動物愛護と「動物福祉」の違いとは?One Welfareの概念から考えるペットの幸せ
皆様こんにちは。
私は普段、動物病院の臨床現場で獣医師として働いていますが、並行して毎年大学の獣医学科で「動物の福祉倫理」の講義を受け持っています。

獣医学科の学生さんたちは皆、夢と情熱を持ち、伴侶動物(ペット)や産業動物、野生動物と人との暮らしを考える糸口を真剣に探しています。
本日は、私が講義でも学生たちに伝えている、これからの人間社会と動物との関係において非常に重要な「動物福祉(アニマルウェルフェア)」についてお話ししようと思います。
「動物愛護」と「動物福祉」はどう違う?
「動物愛護」という言葉は、皆さんもよく耳にする馴染み深い言葉だと思います。動物を愛おしく思い、可哀想な動物を助けたい、大切にしたいという「心(感情)」の動きを表すものです。動物好きの方なら誰もが持っている素晴らしい感情ですね。
しかし、溢れる愛情だけでは、動物の命や生活を最後まで守りきれない場面があります。
そこで必要になるのが「動物福祉(アニマルウェルフェア)」という考え方です。動物福祉とは、愛護の心に「科学的な視点」を持つことを意味します。
愛情だけでは「多頭飼育崩壊」を防げない
近年、ニュースでもよく取り上げられる「多頭飼育崩壊」。これは、「可哀想だから」と次々に動物を保護した結果、飼い主の能力や経済力、飼育スペースの限界を超えてしまい、劣悪な環境に陥ってしまう現象です。

動物福祉の視点では、「自分(あるいは施設)のキャパシティで、どこまでの数なら動物自身の心身の健全を維持し、本来必要な条件を揃えてケアできるか」を客観的に計算し、コントロールします。
ただ環境を整えて食事を与えるだけでなく、その動物の本来の特性や個体ごとの性格を捉え、教育(社会化)し、能力を伸ばす努力をすることが福祉の基本です。
動物福祉は、動物への愛情を礎にした「科学」なのです。
世界で注目される「One Welfare(ワンウェルフェア)」
少し前に「One Health(ワンヘルス:人・動物・環境の健康は一つ)」という言葉をご紹介しましたが、最近ではさらに「One Welfare(ワンウェルフェア)」という概念が世界中で注目されています。
🌍 One Welfare(ワンウェルフェア)とは?
「人間と動物と地球環境の『福祉(幸せな状態)』は、すべて繋がっており、一つである」という考え方です。どれか一つだけを切り離して良くすることはできず、動物の福祉を向上させることは、結果的に人間の福祉や環境保護にも繋がるという概念です。
産業動物(家畜)への福祉の広がり
この考え方は、犬や猫といった伴侶動物だけでなく、私たちの命(食)を支えてくれている「産業動物(牛・豚・鶏など)」にも向けられています。

産業動物がその生を全うするまでの日々の中で、過度なストレスを与えず、心身ともに健康で清潔・気分の良い状態を維持すること(動物の5つの自由を満たすこと)が、現在国際的に強く求められています。
これからの世界では、人間の福祉、地球環境の保護、そして動物福祉がより深く連携して考えられるようになるでしょう。
飼い主の皆様へ:愛犬・愛猫の福祉を守るために
私たち獣医師は、「診断・処方・手術」という国家に許された3つのコア業務を担うと同時に、動物福祉への深い理解が求められます。(※その他のケア領域は、新たに誕生した国家資格「愛玩動物看護師」の方々がさらに力強く担ってくれることでしょう)
そして、飼い主の皆様にもぜひ、日々の生活の中で「この環境は、うちの子の福祉(本来の幸せ)に照らし合わせて正しいだろうか?」という客観的な視点を持ってみていただきたいと思います。
💡 動物の「心身の健全」を毎日の食事からサポート
動物福祉の基本である「健康で気分の良い状態」を維持するためには、日々の栄養管理が欠かせません。いつものご飯にプラスして、手軽に健康をサポートできるサプリメントの活用法をご紹介します。
最後に
動物福祉は、ただのルールではなく「動物を護るための大切な視点」です。
私たち人間と動物が、互いの関係性や環境を正しく思いやりながら歩んでいける未来になることを願ってやみません。
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