2022年3月22日/最終更新日時:2026年3月22日
ペットを飼う前に知っておきたいこと~獣医師がすすめる「暮らす前カウンセリング」~
少し暖かい日も出てきましたね。
当院(赤坂動物病院)の斜め向かいにある豊川稲荷さんの桜は、この界隈ではいつも一番に咲き始めます。こちらの桜が咲き乱れる頃に、東宮御所のソメイヨシノやアークヒルズ周辺の桜坂の桜が次々と花開き、木蓮の花も一緒に咲き始めます。大気に春の薫りが一気に充満し、東京都心にも百花繚乱の春がやってきます。

春になり、木々の花々を訪れて戯れる鳥たちも増えました。
うちの猫は、窓越しにメジロやカラス、スズメ、時々やってくるセキレイの様子を見ては反応しています。猫は元々狩猟をして生きてきた動物ですので、鳥の羽ばたきや、ちょんちょんとはね歩く動作に本能をかき立てられるようです。魚よりも、どちらかというと外の鳥の動きを見ては、瞳を大きくして凝視しながら「にゃっ、にゃっ」と声を出しています。

時に、伴侶動物(コンパニオン・アニマル)と共に暮らしている方から、「猫がハンター(狩人)であることを知らなかった」というお悩みをお聞きすることがあります。
若い猫と初めて暮らし始めた方から、「うちの猫が、家人の通るところを待ち伏せして飛びかかってくるんです!」と、びっくりしてお電話を頂いたこともありました。
犬と猫、それぞれの「習性」を理解する
伴侶動物と暮らしたいと思い立った時、まず考えていただきたいのが「その動物の習性を正しく知る」ということです。

犬は「群れ」で生きる社会的な動物
犬の祖先がオオカミであることは遺伝子的にも解析されています。オオカミが群れの動物であり、社会性を持った生活をしていることはご存知の方も多いでしょう。
群れ(犬の群れ=パック)での生活形態は人の社会生活と通じており、犬は人の家族の中の一員であることに幸せを感じます。
昔言われていたような「特別強力なリーダー」を必要とするわけではなく、人と家族的な関係を築くと今では考えられています。群れの中で暮らすことに安心感を持つ動物なので、人間の家族であっても、その群れの中で安定した日々を送ることが何よりの幸せなのです。
猫は「単独行動」を好む薄明薄暮性の動物
一方、猫の基本的な生活スタイルは「単独行動」です。
行動が最も活発になる時間帯は「薄明薄暮性(はくめいはくぼせい)」といって、明け方と夕方に集中することが分かっています。
猫にとっての一番大きなストレスは、「過密な状態で多数の猫と共に暮らさざるを得ない状況」です。複数の猫と暮らすこと(多頭飼育)は可能ですが、家の広さと猫の数には十分気を付けなくてはいけません。イメージとしては、「1つの独立したパーソナルスペースにつき、1匹の猫」くらいの感覚が必要です。
夢と現実をマッチングする「暮らす前カウンセリング」
現在、日本において「伴侶動物とこれから一緒に暮らしたい」と思っている人は、既に暮らしている人の1.5倍程度いると言われています。
皆さんは、伴侶動物との暮らしを考える時、どのようなイメージを持つでしょうか?
「一緒に散歩に行きたい」「膝の上で撫でて癒されたい」といった幸せのイメージを持つことはとても大切です。しかし、いざ暮らし出してみたら「イメージと違った」「こんなはずではなかった」となってしまっては、人も動物も幸せになることができません。
ライフスタイルとの相性を確認する
想像するときの幸福感はそのままに、考えられる「リアル」を知り、夢と現実を上手にマッチングさせていくためにお勧めしたいのが、「暮らす前カウンセリング」です。
カウンセリングでは、以下のような情報を整理していきます。
- 家族の構成や年齢層
- 生活環境(マンションか一軒家か、広さは十分か)
- 家族の仕事のスタイル(留守番の時間はどれくらいか)
- 動物とどのくらいの時間を共に過ごせるか
専門家と事前に情報を整理することで、「犬との暮らしを夢見ていたけれど、実は現在のライフスタイルには猫の方が向いている」と気づく場合もありますし、「考えていた犬種よりも、もっとご家族の性格に合った犬種が見つかる」場合もあります。

どこで相談できるの?日々の健康準備も大切に
こうした「暮らす前の相談」は、動物病院や、しつけのインストラクターさんなどが受付をしてくださることが多いです。(施設によって対応が異なるため、まずはお近くの専門機関にお尋ねになってみてください。)
💡 家族に迎えた後の「健康管理」もイメージしておきましょう
動物と暮らすということは、彼らの生涯の健康に責任を持つということです。日々の食事や栄養管理も、大切な準備の一つです。
次回は、もう少し具体的な「暮らす前の準備」についてお話ししたいと思います。
本格的な春はもう間近です。世界的に心配な事象が多々ある現代ですが、動物たちとの触れ合いに心温めながら、日々を大切に歩んで行きたいですね。
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