【獣医師執筆】地球で伴侶動物と暮らす~「ワンヘルス(One Health)」が教えてくれること~

2022年12月27日/最終更新日:2026年5月12日

地球で伴侶動物と暮らす~「ワンヘルス(One Health)」が教えてくれること~

皆様こんにちは。
私たちが伴侶動物(ペット)と暮らすこと、そしてこれからの地球にとって大切なことについて、今回は少しスケールの大きなお話をさせていただきます。

キーワードは「One Health / One Welfare(ワンヘルス / ワンウェルフェア)」です。難しそうに聞こえるかもしれませんが、実は皆様の毎日の「愛犬・愛猫のお世話」に直結する、とても温かいお話です。

地球と自然のイメージ

One Health(ワンヘルス)の始まりと歴史

「One Health」という言葉を、近年ニュースなどで耳にされたことがある方もいらっしゃるかもしれません。
この概念の源流は、1993年の世界獣医師会大会でのベルリン宣言にあると言われています。そこには「人と動物の共通感染症の防疫推進や、人と動物の絆を確立するとともに、平和な社会発展と環境保全に努める」という文言がありました。

その後、2004年にニューヨークで開かれたシンポジウムにおいて、WHO(世界保健機関)などの世界的組織が集結し、「人と動物と自然環境の健全性を保つことが、共通感染症などの予防に役立つ」ことを確認し、国際的な行動計画が作られました。

日本でも、2016年に北九州市で「第2回世界獣医師会-世界医師会”One Health”に関する国際会議」が開催されました。
この時、日本で初めて小児科病棟でのアニマルセラピーを実践した松藤凡先生や、私の母である柴内裕子獣医師も講演者として参加させていただきました。多くの人々が一丸となって、人と動物と地球環境の健全を真剣に考える素晴らしい場でした。

つまり「ワンヘルス」とはどういうこと?

歴史についてお話ししましたが、ワンヘルスをとてもシンプルに言うとこういうことです。

「人間と動物、そして地球環境の健康(Health)は一つに繋がっている」

動物が健全で自然環境が健康でなければ、私たち人間も健康には生きていけないという、大基本の事実です。当たり前のことのように思えますが、これを世界中のみんなで再認識し、分かち合ったことに大きな意味があります。

例えば、産業動物(家畜)が健康でストレスなく暮らせれば、予防的な抗生物質の使用が減り、人間にも影響を及ぼす「薬剤耐性菌」の発生を防ぐことに繋がります。
また、伴侶動物と共に暮らすことで高齢者の心身が健康になり、通院回数や介護保険の利用が減れば、国の医療費の大きな削減に繋がります。

すべては、見えない糸で繋がっているのです。

犬と自然

毎日の「愛犬・愛猫のお世話」が地球を救う?

地球の人口はついに80億人を超えました。これほど膨大な数の人々が暮らす地球の環境は、実は私たち一人一人の毎日の「ちょっとした行動」によって担われています。
「自分ひとりくらい良いだろう」という小さな行動が、環境全体に大きな影響を与えてしまうこともあります。

では、私たちはどうすればいいのでしょうか。重責を感じて萎縮する必要はありません。
大切なのは、「あなたの傍らにいる大切な伴侶動物を守るための、毎日のワンアクション」に心を込めることです。

私の場合の「ワンアクション」

私の家にも、可愛い犬と猫と魚がいます。私にできることは、うちの子たちを可愛がり、毎日歯磨きやブラッシングをしてケアし、美味しいご飯をあげて、一緒に遊び、トレーニングをすること。
そして、草木を愛で、家族や、仕事で出会う伴侶動物たちに誠心誠意尽くしていくことです。

柴内先生と愛犬アルマ
▲柴内先生のご家族アルマ(15歳)
シニアしつけ教室に通っています。伴侶動物は歳を経るほど愛おしい宝物です。

愛犬・愛猫の心身の健康を守り、楽しく毎日を過ごさせてあげること。それが「ワンウェルフェア(One Welfare:動物の福祉)」を高め、巡り巡って飼い主様の「ワンヘルス(健康)」となり、豊かな地球環境を守る小さな、けれど確実な一歩になるのです。

💡 大切な家族の「毎日の健康」をサポート

ワンヘルスへの第一歩は、目の前の愛犬・愛猫の健康を守ることから始まります。毎日の食事にプラスして手軽に栄養を補給し、体の内側から健康維持をサポートするサプリメントの活用法をぜひ参考にしてみてください。

最後に:数万年前に選ばれた「奇跡のパートナー」

犬や猫は、数万年前に「人間と共にお互いを支え合って生きること」を自ら選んでくれた、奇跡のパートナーです。
彼らへの感謝の心を持ち、愛情や悲しみといった素直な感情を大切にしながら、毎日を笑って楽しく生きていく。それが私たちにできる最高の恩返しなのではないでしょうか。

皆様のこれからの人生が、伴侶動物とともに素晴らしいものであることを心から祈念いたしております。
(※動物福祉に関するさらに詳しい記事にご興味がある方は、ぜひ友人のサイトのこちらの記事もご覧になってみてくださいね。)


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この記事の執筆者

柴内 晶子 先生(赤坂動物病院 3代目院長)

東京都港区赤坂にて55年以上に渡り、人と動物双方の福祉、教育、医療にかかわり、豊かな社会作りに貢献している「赤坂動物病院」の3代目院長。
「伴侶動物(コンパニオン・アニマル)との幸せな共生」をテーマに、獣医療の枠を超えたトータルケアを提唱しています。

🏥 赤坂動物病院(予約制・365日開院)

住所 〒107-0052 東京都港区赤坂4丁目1-29 赤菱ビル 2F
電話 03-3583-5852
(受付:平日9:30-18:00 / 土日祝9:30-17:00)