2022年1月26日/最終更新日:2026年3月11日
愛犬の口臭はサイン?犬の「歯周病」の原因とデンタルケアの重要性
愛犬があくびをした時、「あれ、お口が少し臭うかも…」と感じたことはありませんか?
実は、ワンちゃんのお口のトラブルで最も多いのが「歯周病」です。なんと、2歳齢以上の犬の80%以上が歯周病(またはその予備軍)にかかっていると言われています。
「たかが口の汚れでしょ?」と放置していると、最悪の場合は全身の健康を脅かす恐ろしい病気に繋がることも。今回は、愛犬の歯周病の原因と、お家でできるデンタルケアについて詳しく解説します。

犬の歯周病とは?(歯肉炎と歯周炎)
歯周病とは、歯垢(プラーク)の中の細菌によって歯ぐきに炎症が起きる病気です。進行度合いによって大きく2つに分けられます。
- 歯肉炎(初期):歯の根元の歯ぐきが赤く腫れている状態です。この段階なら、毎日のケアで改善が見込めます。
- 歯周炎(重度):炎症がさらに奥へ進み、歯を支えている骨(歯槽骨)が溶けてしまう状態です。ここまで進行すると治療が困難になり、全身麻酔をかけて抜歯手術を行うケースが多くなります。
⚠️ こんな症状があったら要注意!
- 口臭がきつくなった
- 歯の根元に黄色や茶色の汚れ(歯石)がついている
- 歯ぐきが赤く腫れている、血が出る
- 硬いご飯を食べづらそうにしている
※これらの症状が見られたら、まずは動物病院を受診しましょう。
歯周病の原因は「歯石」のスピード形成!
歯周病の直接の原因は「食べかす」ではありません。
食べかすに細菌が繁殖してネバネバした「歯垢(プラーク)」となり、これが歯ぐきに悪影響を及ぼします。
人間の場合は歯垢が硬い「歯石」に変わるまで約20日かかりますが、犬のお口の中ではわずか「3〜5日(人の4〜5倍の速度)」で歯垢が石灰化し、カチカチの歯石に変化してしまいます。
歯石の表面はザラザラしているため、さらに歯垢が溜まりやすくなり、あっという間に歯周病が悪化する悪循環に陥ります。
小型犬は特に注意が必要!
一般的に、大型犬よりも小型犬(チワワやダックスフンドなど)の方が歯周病にかかりやすいと言われています。
顎が小さい分、歯と歯の隙間が狭く汚れが溜まりやすいことや、お口全体に唾液が行き渡りにくいためです。
歯石は万病のもと!全身への影響と感染リスク
歯周病を「ただお口が臭くなるだけの病気」と甘く見てはいけません。
放置すると、歯周ポケットから細菌が血液に乗って全身を巡り、心臓、腎臓、肝臓などの重要な臓器に深刻なダメージ(疾患)を与える恐れがあります。
愛犬との「キス」はNG?
実は、歯周病の原因菌の一部は、犬と人の間でうつってしまう「人獣共通感染症(ズーノーシス)」の可能性があると言われています。
愛犬が可愛くてつい口移しでご飯をあげたり、お口にキスをしてしまったりする飼い主様もいるかもしれませんが、お互いの健康(感染予防)の観点から、過度なスキンシップは控えるのが賢明です。

予防の基本は「毎日のデンタルケア」
お口の疾患の多くは予防が可能です。
カチカチの「歯石」になってしまうと動物病院でしか取れませんが、その前の「歯垢」の段階であれば、お家での歯磨きで落とすことができます。できれば毎日、少なくとも3日に1回は歯磨きをする習慣をつけましょう。
🐶 歯磨きが苦手なワンちゃんに!
「どうしても歯磨きを嫌がってしまう…」とお悩みの飼い主様も多いですよね。
そんな時は、歯磨きの練習と併用して、いつものご飯やお水にプラスするだけでお口の環境を整えるサプリメントを活用するのもおすすめです。
最後に
人間では「80歳で20本の歯を残そう(8020運動)」が推奨されていますが、ワンちゃんにとっても、美味しいご飯を自分の歯で食べられることは長生きの秘訣です。
これを機に、愛犬の歯の健康と毎日のデンタルケアについて見直してみませんか?
- 愛犬愛猫のお口の健康
- 口臭大丈夫?犬猫のお口のトラブル
- 犬や猫もデンタルケアが大切!~歯周病について~(本記事)
- 犬猫のデンタルケアの実態について
【参考文献】
- 藤田桂一、小動物歯科診療の歴史ならびに現状と展望(Ⅱ). 日獣会誌、2005
- 網本昭輝、今さら聞けない歯石除去3. 歯垢・歯石除去、動物臨床医学、2015
- 監修:山根義久、イヌ・ネコ 家庭動物の医学大百科 改訂版、パイ インターナショナル、2012
- 西山謙三他、ヒトと飼いイヌにおける歯垢中の歯周病原菌の検出、神奈川歯学、2021